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夏休みの宿題の定番中の定番と言えばこの読書感想文です。僕の担当している生徒さんからも、毎年読書感想文をどのように書けばよいのか、という相談が必ずやってきます。そして毎年5~6本はyukioプロデュースの読書感想文がこの世に誕生しています(笑)
普段それほど文章を書く機会のない小学生や中学生にとって、この読書感想文って本当に大変なんですよね。いきなり本を読んでその感想を書け、と言われても具体的に何から書けば良いのか分からないお子さんがほとんどです。
そこで今回は読書感想文の具体的な書き方をご紹介いたします!ぜひぜひこれを参考に、自分で読書感想文を書いてみましょう。一度うまく文章が書けると、つぎから作文がもっと楽しくなるはずですよ。
読書感想文を書く前に
読書感想文において最も重要なもの、それはどのような本を読むか、です。当たり前ですが、自分が最後まで読める本でないと感想が書けません。普段本を読む人は普段読んでる本の中から選べばよいですが、普段読まない人はなるべくページ数の少なく、自分の興味のあるジャンルの本を選んであげましょう。また、物語以外の本を読む人もいますが、物語以外の本は感想が書きにくいのであまりお勧めはしません。また、今回の読書感想文の書き方は、物語の本を読む前提で解説していますので、その点はご了承ください。
読書感想文の構成
読書感想文に決まった構成はありません。段落の数や書き方は自由です。ただし、タイトルの書き方や、原稿用紙の枚数には制限がありますので、学校の課題を参考に書くようにしてみてください。
ここで注意しておくべきなのは、構成が自由だからと言って本当に自由に書き始めると、めちゃくちゃな文章になり後から何度も書き直しをすることになります。この記事を見てくれている人は文章を書くのが苦手な人が多いと思いますので、この後の読書感想文に書くべき内容で紹介している構成をそのままマネして書いてみることをお勧めします。
読書感想文に書くべき内容
読書感想文を書く際には、自分の読んだ本がどれだけ面白かったか、ためになったのかを、本を読んでいない人にも教えてあげるつもりで書くようにしましょう。この感想文を読んだ他の人が、自分もこの本を読んでみたいな、と思わせることができれば、それは良い読書感想文だと言えます。
また、中学生以上の人に必ず押さえてもらいたいのが、その作品のテーマと作者が伝えたかったことはいったい何なのか、という点です。作者は読者に対して、何かを伝えたくてその作品を書いています。もちろん決まった正解というのはありませんが、自分がその本を読んで感じた作品のテーマや作者の伝えたかったことを是非感想の中に織り込んでください。
ではここから具体的に書くべき内容の紹介です。
なぜその本を読もうと思ったのか
自分がなぜその本を読んだのか、読もうと思ったきっかけを書きます。また普段の自分の読書の状況も書いてあげると良いかもしれません。
「僕は普段あまり本は読みません。ではなぜこの本を読もうと思ったかというと、この作品が野球をテーマにした作品だと知ったからです。僕は小学校のころから野球をしていて、この物語の主人公ともよく似た境遇だと感じました。」
「私は普段から本を読むのが好きです。特に推理小説を読むのが好きで、今回はいつも読んでいる作家さんの別の人気シリーズだと知り読んでみようと思いました。」
読む前の印象
本を読む前、もしくは本を読み始めてすぐの時点で、自分がどのような印象を持っていたかを書きます。特に、本を読んだ後に感じた印象と大きく異なることがあれば、それを強調して書いてあげると良い感想文に仕上がります。
「僕は長い物語を読むのが苦手なので、はじめは最後まで読み切れるか心配でした。しかし、読み進めていくうちに次の展開が気になり、あっという間に最後まで読み終えてしまいました。」
「私はこの本を読む前、この主人公はとても冷酷で、他人のことを思いやることができない人間だと思っていました。しかし読み進めていくうちに、だんだんと主人公の優しさを感じることができ、主人公のことが好きになってきました。」
あらすじ
読書感想文では、あまりあらすじを書いてはいけません、と指導する先生もいるかもしれませんが、本の感想を読んだことのない人に説明するには、あらすじの説明は重要です。ただし、あらすじをだらだらと書き続けるのは、下手な読書感想文です。物語の本当に大切なことだけをあらすじとして書いてあげるようにしましょう。また、あらすじは物語の最後まで書く必要はありません。どちらかというと物語の序盤から中盤くらいまでの話をまとめて書くと良いです。
「この本のあらすじを簡単に紹介します。ある日主人公の男の子タロウは、遊びに来た山の中で罠にかかったオオカミの子どもと出会います。男の子はそのオオカミをシロと名付け徐々に仲良くなっていきますが、ある時猟師である父にシロのことが見つかってしまいます。猟師である父は、村の安全のためにオオカミをそのままにしておくことはできません。父に捕まれば友達であるシロが殺されると感じたタロウはシロと共に村から逃げる決心をします。」
↑これで約200文字、原稿用紙半分くらいです。これ以上増えるとちょっと長すぎになるので注意です。この後で、共感できる登場人物や、印象に残った場面の話につなげると自然な流れになります。
共感できる登場人物(好きな登場人物)
共感とは、ある人の気持ちを自分も同じように感じられることを言います。物語の中では、登場人物の行動も大事ですが、それ以上に登場人物の気持ちの変化を読み取ることが大切です。本を読む中で登場人物に共感できることがあれば、その様子を感想に書いてあげましょう。逆に、自分ならこういう風な気持ちになるとか、こういう行動をした、という自分に置き換えて登場人物のことを考えてあげる書き方も効果的です。小学生でまだ心情を読み取ることが難しい場合は、単純にこの登場人物が好きだ、かっこいい、憧れる、面白い、などの感想でもかまいません。
「主人公が試合に負けて悔しがっているときの気持ちが、僕にはよく分かりました。僕も部活動の試合で負けた時には、同じような気持ちになると思います。」
「あの場面で、友人が主人公のことを怒ってあげるのは、本当の友達じゃないとできないと感じました。私が同じ立場だったら、一体どのように声をかけてあげるべきか、想像がつきません。」
印象に残った場面
こちらは登場人物ではなく、物語の一場面にスポットを当てた感想ですね。場面とひとくくりにしていますが、物語の展開に対しての感想でもいいですし、結末に対して自分の感じたことを書いても良いです。ここも共感できる登場人物と同じく、読者である自分がどのように感じたのか、面白かった、感動した、悲しかった、怖かったなどの感情とともに、そう感じた理由をしっかりと書けると良かなりよくなります。
この印象に残った場面は、読書感想文のメインとなるところなので、なるべく文字数を割いて丁寧に書いてあげるようにしましょう。
「私はこの物語全体の中で、主人公がヒロインを助けるために、勇気を出して敵に立ち向かっていく場面が好きです。はじめは弱虫でいつも誰かに頼ってばかりの主人公が、この場面では誰にも頼らずに自分の意志で立ち向かっていく様子を見て、私も勇気をもらいました。」
「僕は、最後のお母さんが作ってくれたお弁当を食べるシーンに感動しました。いくら喧嘩をしていても、子供のためにお弁当を作ってくれるお母さんを見て、僕も自分のお母さんの優しさを再確認することができました。」
作者の伝えたかったこと
これは終盤に書くと効果的です。物語では、必ずその作者が読者に対して伝えたいメッセージのようなものがあります。直接書かれているわけではないので、物語をしっかりと読まなければ、このメッセージを読み取るのは難しいかもしれません。ですが、本を読む上ではとても大切なことなので、中学生以上の方は、ぜひこの作者の伝えたかったことを想像して、感想文の中に書いてみましょう。
「作者はこの物語を通して、命の大切さを伝えたかったのだと思います。」
「私はこの物語を読んで感じたことは、主人公のように、何事もあきらめず、最後までやりとげることが大切だということです。」
自分にどのような影響を与えたか
最後に、この本を読んで、自分が思ったこと、感じたことと合わせて、自分にどのような影響を与えたのかを書いてあげましょう。なるべく前向きな形で書くことができると、読書感想文の最後の締めにぴったりな内容になります。
「普段何気なく接している友達こそが、本当の宝物なのだとこの物語を通して気づかせてもらえました。僕の中学生活も残り半分しかありませんが、大切な友人たちと、残りの中学生活の中で、たくさんの思い出を作っていきたいです。」
「私は我慢強さがなく、何事も途中であきらめてしまうことが多いのですが、この主人公のように、最後まであきらめずに、最後までやりとげられる人になりたいと思いました。」
書いた作文は誰かに読んでもらおう
読書感想文の具体的な書き方はここまでです。ここで紹介している内容を盛り込んでいけば、およそ普通レベルの感想文が書けると思います。もちろん、自分はもっとこんなことが書きたいんだ~という人は遠慮せずにどんどん好きなことを書いていきましょう。
最後に、できればやって欲しいことですが、書いた読書感想文は、学校に提出する前にお父さんお母さんや、誰か年上の人に一度読んでもらうと良いです。他の人に読んでもらうと、漢字や言葉の使い方を間違えているところや、意味が伝わりにくいところなどを指摘してもらえるからです。
自分だけで見直しをしても、そういうところは見つけにくいので、ぜひ協力をしてもらい、さらに良い読書感想文にしていきましょう。